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知財判決ダイジェスト

特許 令和6年(行ケ)第10099号「マッサージ機を備えた情報ネットワークシステム」(知的財産高等裁判所 令和7年11月13日)

【事件概要】
 訂正を認めて請求項1、4~9に係る発明についての特許を取り消した異議決定が維持された事例
判決要旨及び判決全文へのリンク

【本稿で紹介する争点】
(1)甲2の1発明の「端末装置104」と本件訂正発明1の「操作器」は、「マッサージ機に備え付けられた端末装置」である点で一致する、とした本件決定の認定の当否。
(2)甲2の1発明の「画像フレームF1」は、本件訂正発明1の「新着報知部」に相当する、とした本件決定の認定の当否

【裁判所の判断】
(1)原告は、甲2の1発明の「端末装置104」は、マッサージ装置106の「外部装置」であり、本件訂正発明1の「マッサージ機に備え付けられた」に相当しないから、一致点の誤認と相違点の看過があるなどと主張する。

しかしながら、「備え付ける」とは「ある場所に置いて使えるようにしておく。設けておく。」(乙1・広辞苑第6版)ことを意味しており、必ずしも物理的に離れていない状態であることを意味するものとは解されない。甲2の1発明の「端末装置104」はマッサージ装置からみれば「外部装置」であるが([0004]、Claim1)、マッサージ装置と接続し、マッサージ装置とともにマッサージ関連サービスを提供するシステムを構成しており([0008]、Claim12)、スマートフォン、タブレット型コンピュータ…などを含み得るとされている([0018])。すなわち、甲2の1発明の「端末装置104」は、物理的にマッサージ機と離れている状態(外部装置)であっても、機能的にみて、マッサージ装置のために「備え付けられた」ということができる端末装置であると解される。

これらの点に照らすと、甲2の1発明の「端末装置104」と本件訂正発明1の「操作器」は、いずれも「マッサージ機に備え付けられた端末装置」である点において一致する旨の本件決定の判断に誤りはない。

(2)原告は、甲2の1発明では、甲2の1発明の画像フレームF1は、「新たに到着したこと又は着いたばかりであることを、人に告げて、その人が知るようにする機能」を有していないから、新着報知部とはいえず、一致点の誤認及び相違点の看過があると主張する。

そこで、検討すると、本件明細書によれば、マッサージ機10は受信した新しい情報を新着報知部22に表示して、被施療者に新しい情報があることを知らせ、被施療者は、マッサージ機10の使用時に新着報知部22によって新しい情報が届いたことを確認することができる(【0038】)。情報報知部23に表示された新着報知例を示す【図5】(新着画面に複数の新規コース情報を表示)においては、新着情報の画面に複数の「新着施療コース」に関する情報が表示されている。このような本件訂正発明1の新着報知部による新着情報の報知とは、必ずしも「着いたばかりであること」を人に告げるものとはいえず、マッサージ機に導入されていない新しい施療コースがあることを知らせることを含むものである。

他方、甲2の1発明においては、サーバコンピュータ103から送信された新しいマッサージプログラムのリリースについての通知が端末装置104に通知され、通知を受けた端末装置104の画像フレームF1は、購入可能な複数のマッサージプログラム501のリストを表示するのであるから、甲2の1発明の画像フレームF1に列挙されたプログラムは、マッサージ機に導入されていない新しい施療コースのプログラムであり、該画像フレームF1は、これがあることを知らせる新着報知部に相当するというべきである。

【コメント】
上記両争点のいずれに関しても、原告(特許権者)は、本件訂正発明1の各文言が、自己が意図したとおりの意味であることを前提に、各争点に係る本件訂正発明1の構成は甲2の1発明の構成とは相違する旨の主張をしたものと思われる。

しかしながら、裁判所は本件訂正発明1の各文言は原告が主張するような狭い意味には解釈できないとして、原告の主張を斥け、異議決定の認定を支持した。

裁判所による上記各文言の解釈は原告にやや酷な印象もあるが、特許権者や特許出願人としては、特許請求の範囲に、引用発明の構成を含む意味合いに解釈される余地のない明確な文言を用いることが求められている、といえそうである。

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